不眠症の薬治療-睡眠薬とはいったい何か
睡眠障害で病院を受診し、不眠症と診断された場合、医師は不眠のタイプなどを見極めたうえで、基本治療として睡眠薬を処方します。
睡眠薬にはたくさんの種類があるので、その中から適切なものを選択することになります。
中には睡眠薬に“怖い”というイメージを持っている人もいるようですが、まずは成分や効果などを正しく知ることが大切です。
睡眠薬の種類
睡眠薬は作用時間によって4つに分類されます。「( )は作用時間」
・超短時間型(3~4時間)・・・アモバン、マイスリー、ハルシオン
・短時間型(5~6時間)・・・レンドルミン、ロラレット、リスミー
短期型は効果が短い睡眠薬で、なかなか寝付けない、一過性の不眠の症状に使われます。
短時間で効果が切れるのが特徴で、比較的目覚めがよいのがメリットです。
・中時間型(7~8時間)・・・ロヒプノール、サイレース、ユーロジン
・長時間型(中時間型以上)・・・ネルボン、ドラール、ベノジール、エリミン
中・長時間型は効果が長めなのがメリットで、夜中に何度も目が覚める中途覚醒や明け方、早く目が覚めてしまう早朝覚醒などの症状に向いています。
短期型から継続して使われることも多いのですが、明け方に熟睡していると起きるのが辛い人もいるようです。
また、強さによっては次の4つに分類されます。
バルビツール系
以前の主流だった睡眠薬ですが、麻酔薬として使われるほど非常に強いことから副作用や安全性の面で課題があり、現在はほとんど使われていません。
ベンゾジアゼピン系
バルビツール系に代わる睡眠薬として開発されたもので、強さはあるものの、安全性も高いのが特徴です。
非ベンゾジアゼピン系
ベンゾジアゼピン系を改良したタイプでより安全性が高く、現在最も処方される頻度が高い睡眠薬です。
メラトーン受容体作動薬
他の睡眠薬のように強制的に眠らせるものではなく、脳の視床下部から分泌されるメラトニンというホルモンに作用することで眠気を感じさせるメラトン受容体薬です。そのため、作用は弱いのですが、安全性が高いのがメリットです。
そして、睡眠薬の成分は種類によって異なり、主なものは次の通りです。
ゾピクロン
使われている睡眠薬はアモバン、メトロームなどで脳に直接働きかけ、催眠と鎮静作用を持っています。
トリアゾラム
睡眠薬ハルシオンに使われており、脳に直接作用して鎮静作用と催眠作用をもたらします。筋肉弛緩剤として麻酔に使うこともあります。
ロルメタゼパム
睡眠薬エバミールの成分で依存度が高いので、服用の際は少量から始めるのが基本です。
鎮静と催眠作用を持っています。
ブロチゾラム
睡眠薬レンドルミンの成分です。催眠作用のほかに筋肉弛緩作用があり、麻酔前の処置薬として使用されています。
このように睡眠薬には作用時間や強さによって種類がいろいろあるので、昔のイメージだけで“怖いもの”と敬遠することはありません。まずは、眠れなくて悩んでいる人は、医師の正しい診断の元、適切な処方を受けることをおすすめします。
睡眠薬が効かない不眠症やケース
不眠症の治療というとすぐに思い浮かぶのが睡眠薬ではないでしょうか。医師は患者の年齢、不眠の症状、他の薬を服用していないか、合併症などがないかなど、さまざまな観点から診断し、適切な睡眠薬を処方してくれます。
睡眠薬への依存について
睡眠薬は高い効果が期待できる反面、副作用があるのも事実です。もちろん、すべての人に現れるわけではありませんが、事前にどんな副作用があるのか知っておくことはとても大切なことかもしれません。
市販の睡眠薬 種類と価格
睡眠薬というと医師の処方の元でしか手に入らないと思われがちですが、実は市販されている睡眠薬もあるのです。ただし、医師から処方される薬と大きく異なるところは、正式にいうと市販のものは「睡眠薬」ではなく、「睡眠改善薬」だということです。
処方による睡眠薬 価格・保険適用について
不眠症の症状で医療機関を受診した場合、多くの場合、睡眠薬を処方されます。中には“怖い”というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、医師はきちんと状態を診断したうえで、それに合う薬を処方してくれます。
高齢者の睡眠薬による治療 その注意点
不眠症の治療では睡眠薬の服用は大変有効ですが、高齢者の場合は少し注意が必要です。高齢者で不眠を訴えて医療機関を受診する人は年々増加の傾向にあるといわれていますが、若い人でも睡眠薬の服用には注意が必要なのですから、高齢なら場合はなおさらです。