不眠症に効果が期待できる成分について
不眠症の改善に効果が期待できる成分は「睡眠物質」と呼ばれるもので、神経伝達物質やホルモンが活動したあとで分解される時に生成されます。
この睡眠物質が脳内に溜まってくると人は眠気を感じ、より多く溜まることで深い睡眠を得ることができるのです。
そして、朝になるとこれらの物質が消えてしまうため、脳が活動を始めて、人は覚醒するというわけです。
睡眠物質にはいくつかの種類がありますが、中でもよく知られているのは「メラトニン」。
これは1958年に発見された成分で、眠りを誘導する作用を持ち、「睡眠ホルモン」と呼ばれています。体温を下げたり、脈拍や血圧を低くして睡眠と覚醒のリズムを調整する働きがあり、人が自然に眠りにつけるように導いてくれます。
分泌しているのは脳内の松果体で、目の網膜が受ける光の量を感知することで分泌量を増減しています。
たとえば、睡眠に入る前に部屋を暗くすることで眠りやすくなりますが、これは網膜から入る光の量が減ることでメラトニンが分泌されるからなのです。入眠時からだんだんと分泌量が増え、午前2時頃にピークに達し、明け方に近づくにつれて減少していき、やがて覚醒します。
ただし、残念ながら、メラトニンの分泌は7歳ごろが最も多く、そのあとは加齢と共に少しずつ減少していくのが現状です。ですから、不眠症の人は分泌がうまくいっていないのかもしれませんし、高齢者が朝早く目が覚めるのもメラトニンの減少が原因かもしれないのです。
現在のところ、アメリカではサプリメントとして販売されており、ドラッグストアでも気軽に手に入りますが、日本では薬事法で医薬品に分類されるため、医師の処方が必要です。
では、どうしたらメラトニンを増やせるのかと疑問に思う人も多いと思いますが、実はメラトニンは人間の体の中で合成できるホルモンなのです。ですから、作りだすために必要な成分をサプリメントなどを利用して、積極的に摂取するとよいでしょう。原料となる成分はいくつかあり、それぞれ違った働きや特徴を持っています。
トリプトファン
必須アミノ酸の一種でメラトニンの原料となる物質です。
対内で作ることができないため、食べ物やサプリメントなどから摂取しなければなりません。豆製品や乳製品、ナッツ類、バナナなどに多く含まれているので意識的に食べるようにするのがおすすめです。
トリプトファンとは?
トリプトファンは、快眠に欠かせない成分である「メラトニン」や「セラトニン」などの脳内物質を合成するための大切な材料です。必須アミノ酸の1つで食品のたんぱく質に含まれており、普段の食事から摂取することができます。
セロトニン
精神や心のバランスを整える神経伝達物質です。
うつ病などの精神疾患と深く関わりのある成分で、トリプトファンから合成されます。
体内のセロトニンの内、脳内に存在するのはわずか2%なのですが、これが体内時計を調整したり、ドーパミンやノルアドレナリンの作用を制御する働きを担っています。
セロトニンとは?-睡眠への効果と増やし方・副作用など-
睡眠と深い関係があるといわれている脳内伝達物質の1つ「セロトニン」。うつ病などの精神疾患の話題の時に耳にしたことがあるという人も多いと思いますが、それはセロトニンの分泌量がうつ病に影響を与えているからです。
グリシン
体内で合成できる非必須アミノ酸の一種で、アミノ酸の中で最も分子が小さいといわれています。脊椎や脳幹に多く存在する神経伝達物質で睡眠の質を高めて、不眠の改善に役立ちます。
バレリアン
多年生の植物でハーブの一種。
中枢神経を穏やかにする働きを持ち、精神を安定させたり、睡眠によい作用をもたらします。脳内のGABAという神経伝達物質に作用し、レム睡眠を増やす効果が期待できます。日本でも不眠の改善にバレリアンのハーブティーを飲む人もいます。
不眠症の改善には、睡眠ホルモンである「メラトニン」を多く分泌させること、そして、作りだすためには、原料となるトリプトファンを食事やサプリメントを利用して効率よく摂取する必要があるといえますね。